挨拶

2008年8月19日火曜日

日々の一言 芥川龍之介「侏儒の言葉」第一弾

「奴隷
奴隷廃止と言うことはただ奴隷たる自意識を廃止するということである。我々の社会は奴隷なしには一日も安全を保しがたいらしい。」
という一節が、芥川龍之介の侏儒の言葉にある。これはおそらく真実である。この場合の「奴隷」とは、使役される道具である人間という意味では無いだろう。自分の意志で物事を判断したり、決断することが出来ない人間の事ではないだろうか。
 
次回に続く

2008年5月18日日曜日

2008-05-18 中日新聞1面「中日春秋」

今日の中日新聞朝刊の中日春秋、内容は中国の四川大地震に関して、日本の国際緊急援助について書かれている。
そこに、新約聖書・マタイによる福音書からの引用があった。
中日春秋のその一節を引用すると、
 
中国政府の派遣受け入れがもう少し早ければと思うが、ともかく日本が一番乗り。一、二陣合わせて六十人が、がれきの下で命を求め、必死で時間と闘っている。聖書・マタイ伝の一節を信じたい。<捜せ、そうすれば見いだすであろう>
 
第何章の何節なのか記されていなかったので、ちょうど図書館から借りていた講談社の新約聖書が手元にあったから調べてみた。
 
新約聖書「マテオによる福音書」第7章7節
求めよ、そうすれば与えられる。探せ、そうすれば見いだす。たたけ、そうすれば開かれる。
 

2008年3月18日火曜日

第4弾 精液が一滴も出ないのに


精液が一滴も出ないのにどうして勃起するのだろうか、などと考える時にはチーズとジャムがとてもおいしく感じられる事を知った。
村上龍「村上龍映画小説集-大脱走」:ケン

これに対する答えは、「愛と幻想のファシズム」においてなされている:

俺達は大脳で発情する。精液が溜まって勃起するわけではない。裸の女が股を開いているところを思い描いて勃起するのだ。本当は人間には何の欲望もない。対象があるために欲望が発生するだけだ。
村上龍「愛と幻想のファシズム」:鈴原冬二


人間に本来欲望などなく、対象があるから欲望が生まれると言う事。愛と幻想のファシズムでは、生まれて初めて口紅のCFを見たから口紅が欲しくなった女の話もある。今、「~がなかったら生きていけない(cf.テレビ、携帯電話、電子レンジ,etc.)」なんていうものは嘘だ。それを手に入れる前まで、それ無しで生きていたからだ。それが生まれる前だって人間は生きていた。無くなって困るものなど、本当はほとんど無い。

ポケモンの神話8 初まりの話


初まりの話


初めにあったのは
混沌のうねりだけだった
全てが混ざり合い
中心に卵が現れた
零れ落ちた卵より
最初のものが生まれ出た
最初のものは
二つの分身を創った
時間が回り始めた
空間が広がり始めた
さらに自分の体から
三つの命を生み出した
二つの分身が祈ると
「物」と言うものが生まれ
三つの命が祈ると
「心」と言うものが生まれた
世界が創り出されたので
最初のものは眠りについた
原文:
はじまりのはなし

はじめに あったのは
こんとんの うねり だけだった
すべてが まざりあい
ちゅうしんに たまごが あらわれた
こぼれおちた たまごより
さいしょの ものが うまれでた
さいしょの ものは
ふたつの ぶんしんを つくった
じかんが まわりはじめた
くうかんが ひろがりはじめた
さらに じぶんの からだから
みっつの いのちを うみだした
ふたつの ぶんしんが いのると
もの というものが うまれ
みっつの いのちが いのると
こころ というものが うまれた
せかいが つくりだされたので
さいしょのものは ねむりについた

2008年2月28日木曜日

自分自身

人は完全には他人を理解できない。
だが、人は他人を理解しようと努める。
しかし、それはかなりの労力を要する。
だから、分かり合おうとする姿勢をとり続けるれば、疲れてしまう。
疲労を防ぐために、人は他人に迎合したり、システムに従う。
それは楽なのだ。自分の意見を言わず、他人に従う。自ら自らの未来を決定する事は疲れる。
その努力を行わない者は、状況の奴隷である。
そういった人々に、現状を変える力はない。
だから、カリスマ性を持つ人に惹かれるのであり、物事をはっきり言う人間が好かれる。
 
僕は最近、自分がコミュニケーションを極力取らない様にしつつあったのに気が付いた。人と話す時に目を見ない、自分の意見を言わない、適当に同調する。気が付いてから、僕はそれを直そうとしている。他人の目を見る事、自分の意見を言い、他人に簡単に同調しない事。
他人の意見を批判しなければ、波風は立たず平和だろうが、僕は奴隷になりたくない。
今僕は疲れているが、どうにかしてコミュニケーションを取り戻したいと思う。

2008年2月8日金曜日

ポケモンの神話7 恐ろしい神話


恐ろしい神話


そのポケモンの目を見た者
一瞬にして記憶がなくなり
帰ることができなくなる
そのポケモンに触れた者
三日にして感情がなくなる
そのポケモンに傷を付けた者
七日にして動けなくなり
何もできなくなる

原文:
おそろしい しんわ

そのポケモンの めを みたもの
いっしゅんにして きおくが なくなり
かえることが できなくなる
そのポケモンに ふれたもの
みっかにして かんじょうが なくなる
そのポケモンに きずを つけたもの
なのかにして うごけなくなり
なにもできなくなる

2008年2月7日木曜日

詩「鍵盤」

彼女は崩れた家の一つにピアノがあることに気が付いた。

彼女はピアノを弾いた事は無かったが、崩れかけ、屋根が無くなった部屋の中で、ピアノの前の椅子に座った。

鍵盤に指を置く。
 
降り積もった塵のせいで、澄んでいるとは言えない、震えた、どことなく悲しげな音がした。

弾けるわけでも無いので、彼女は鍵盤を適当に叩いていた。
 
その時、誰かがやって来た。
その青年は、ピアノを貸してくれ、と彼女に言った。 
彼女は椅子から降り、青年にピアノを貸した。
 
青年は、悲しげな音の出るピアノでジャズ・スタンダードをボッサ・ノヴァで弾いた。

曲調もテンポも明るいのに、悲しげなピアノの音は、何処までも悲しげだった。

青年はピアノを弾きながら歌った。
 
彼女には英語の歌詞は分からなかったが、所々分かる単語からすると、どうやら恋の歌らしかった。
 
恋の歌をボッサ・ノヴァで弾いて、屋根の無い青空の見える部屋で聞いても、そのピアノの音は、どこまでも悲しげだった。

2008年1月31日木曜日

ポケモンの神話6 シンオウ昔話 その3


シンオウ昔話


その3


人と結婚したポケモンがいた
ポケモンと結婚した人がいた
昔は人もポケモンも
おなじだったから普通の事だった

原文:
シンオウ むかしばなし
その3

ひとと けっこんした ポケモンがいた
ポケモンと けっこんした ひとがいた
むかしは ひとも ポケモンも
おなじだったから ふつうのことだった

ポケモンの神話5 シンオウ昔話 その2


シンオウ昔話


その2


森の中で暮らす
ポケモンがいた
森の中でポケモンは皮を脱ぎ
人に戻っては眠り
またポケモンの皮をまとい
村にやって来るのだった

原文:
シンオウ むかしばなし
その2

もりのなかで くらす
ポケモンが いた
もりのなかで ポケモンは かわを ぬぎ
ひとにもどっては ねむり
またポケモンの かわを まとい
むらに やってくるのだった

ポケモンの神話4 シンオウ昔話 その1


シンオウ昔話


その1


海や川で捕まえた
ポケモンを食べた後の
骨をきれいにきれいにして
丁寧に水の中に送る
そうするとポケモンは
再び肉体を付けて
この世界に戻ってくるのだ

原文:
シンオウ むかしばなし
その1

うみや かわで つかまえた
ポケモンを たべたあとの
ほねを きれいに きれいにして
ていねいに みずのなかに おくる
そうすると ポケモンは
ふたたび にくたいを つけて
このせかいに もどってくるのだ

ポケモンの神話3 トバリの神話


トバリの神話


剣を手に入れた若者がいた
それで食べ物となるポケモンを
むやみやたらと捕らえまくった
余ったので捨ててしまった
次の年何も捕れなかった
ポケモンは姿を見せなくなった
若者は長い旅の後
ポケモンを見つけ出し尋ねた
どうして姿を隠すのか?
ポケモンは静かに答えた
お前が剣を振るい
仲間を傷つけるなら
わたし達は爪と牙で
お前の仲間を傷つけよう
許せよわたしの仲間達を
護るために大事なことだ
若者は叫んだ
お前達ポケモンが生きていること
剣を持ってから忘れていた
もうこんな野蛮なことはしない
剣もいらない
だから許してほしい
若者は剣を地面に
叩きつけて折って見せた
ポケモンはそれを見ると
どこかに消えていった

原文:
トバリのしんわ

つるぎを てにいれた わかものがいた
それで たべものとなる ぽけもんを
むやみやたらと とらえまくった
あまったので すててしまった
つぎのとし なにもとれなかった
ぽけもんは すがたを みせなくなった
わかものは ながいたびの あと
ぽけもんを みつけだし たずねた
どうして すがたをかくすのか?
ぽけもんは しずかに こたえた
おまえが つるぎを ふるい
なかまを きずつけるなら
わたしたちは つめときばで
おまえの なかまを きずつけよう
ゆるせよ わたしのなかまたちを
まもるために だいじなことだ
わかものは さけんだ
おまえたち ぽけもんが いきていること
つるぎを もってから わすれていた
もうこんな やばんなことは しない
つるぎも いらない
だから ゆるしてほしい
わかものは つるぎを じめんに
たたきつけて おってみせた
ぽけもんは それを みると
どこかに きえていった

2008年1月30日水曜日

詩「告白」

わたしはあなたが好き
でも、わたしはあなたの愛を独占することは出来ないって気付いたの
 
あなたが全部わたしのものにならないのなら、あなたなんていらない
 
わたしをあなたの全てにしてくれないのなら、あなたなんていらない
 
それでも、わたしは諦められない
 
あなたを想う気持ちに変わりはないの
 
だから、わたしはあなたが全てわたしのものになる様にしてあげる
 
あなたがわたしの事しか考えられないようにしてあげるわ
 
わたしが欲しいのはわたし以外の事に心を動かすあなたじゃない
わたしが欲しいのは全てが私の物になったあなたなの
 
わたしがあなたの自由を奪って、自由にしてあげるわ
わたしのための自由に
 
あなたはわたしのものよ
そしてわたしもあなたのもの
 
動かないあなたを、動かすのはわたしなの
あなたはわたしのものだから
動かないあなたは、全てがわたしのもの
あなたはわたしだけを想って死ねばいい
 
 
 
殺してあげるから

詩「重圧」

彼女を殺したのは誰? 
 
彼女がどうして死んだか知ってる?
なぜ彼女が突然、自ら命を絶ったのか
 
確かに彼女は真面目で、優しくて、いわゆる優等生だった
友達も沢山いた
 
でもね、それは全部、そうであったように見えてただけ
彼女がそう見せていただけ
 
彼女に本当の友達はいたの?
 
彼女の真面目な性格は、彼女の親が望んだから
彼女は自分を演じていた
偽りの自分だから、偽物の友達しか出来ない
偽り続ければ、疲れてしまう
 
わかる?
彼女は独りだったの
友達に囲まれているように見えていても、彼女に友達なんかいなかった
本心を言える場所は無かった
それはとても辛い事
 
真面目で、優しい彼女も、作り物
自分を偽り続ければ、いつか限界が来る
 
親が望んだから、彼女は自分を偽った
でも、彼女も親から離れようとしなかった
 
親から離れれば、死ぬ事も無かった
彼女は、自分は親を愛しているのだと自分を偽った
 
彼女は限界だったの
 
誰も彼女の本心を知らなかった
彼女も本心を偽っていた
 
親が悪い?
彼女が悪い?
誰か答えを知ってるの?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
彼女を殺したのは、誰?

2008年1月27日日曜日

ポケモンの神話2 シンオウ地方の神話

ミオシティ図書館3階右上隅の本棚列、左から二番目


シンオウ地方の神話


昔 シンオウができた時
ポケモンと人は
お互いに物を送り
物を送られ支えあっていた
そこで あるポケモンは
いつも人を助けてやるため
人の前に現れるよう
ほかのポケモンに話した
それからだ
人が草むらに入ると
ポケモンが飛び出すようになったのは

原文:
むかし シンオウができたとき
ポケモンと ひとは
おたがいに ものを おくり
ものを おくられささえあっていた
そこで あるポケモンは
いつも ひとを たすけてやるため
ひとの まえに あらわれるよう
ほかの ポケモンに はなした
それからだ
ひとが くさむらに はいると
ポケモンが とびだすようになったのは


ポケモンの神話1 シンオウ神話

ポケットモンスター ダイヤモンド&パールに登場する神話を書いて行きます。
 
 
ミオシティの図書館にある本の内容。右上端の本棚列の一番左にある本


「シンオウ神話」


怒るな??が来るぞ
悲しむな??が近づいて来るぞ
喜ぶ事 楽しむ事
当たり前の生活
それが幸せ
そうすれば???サマの
祝福がある
と言うのが口癖だ



原文:
シンオウしんわ
おこるな ?? がくるぞ
かなしむな ?? がちかづいてくるぞ
よろこぶこと たのしむこと
あたりまえの せいかつ
それが しあわせ
そうすれば ??? サマの
しゅくふくが ある
というのが くちぐせだ

2008年1月11日金曜日

新劇場版公開記念!エヴァンゲリオン特集 第4回

エヴァと村上龍 Final

寓話としての短編(抜粋)
『言うべきことや語るべきことがなくただ手法だけがある時代、たとえば映画の「スワロウテイル」やアニメの「エヴァンゲリオン」を評してそういう風に言う人がいる。言うべきことや語るべきことを持っているのは基本的に政治家だと私は思う。作家やその他の表現者は言うべきことや語るべきことがあって作品を作るわけではない。
伝えたい何かがあるから、作るのだ。アピールしたいわけでもないし、マニフェストしたいわけでもない。ただ、自分と言う容器にある情報を伝えたいというだけなのである。』
「村上龍 自選小説集3」より