挨拶

2010年6月28日月曜日

6/17 木曜1限「自然地理学」

(1)気候変動の要因(つづき)


a.数万年スケールの気候変動

「ミラコビッチサイクル」地球の公転・自転の周期的変動によって日射量だ変動する
  1. 公転軌道の離心率:公転軌道の楕円の程度 約10万年周期
  2. 地軸傾斜角:地軸の傾き(±1°程度) 約4.1万年周期
  3. 地軸の歳差運動:地軸がコマのように首振り運動する 約2.3万年+約1.9万年周期
  4. 公転軌道面の歳差運動:公転軌道の長転の方向

これら4要素が相候って気候変動が起きるが、それだけでは量的に説明できない。
→正のフィードバックの存在?

b.数1000年周期の気候変動

(省略)
cf.スペクトル解析

c.数10年~数100年スケールの気候変動

さまざまな要因があるが……

1.太陽活動(内部の熱核融合等、太陽黒点数が指標となる)の変動による宇宙線(高エネルギーの放射線)量の変動

黒点数が多い:太陽活動活発=地球に入る宇宙線量少=(低層)雲量少=温暖

2.地球磁場の変動による宇宙線量の変動

宇宙線をさえぎる働きがある
地磁気強=地球に入る宇宙線量少=……=温暖

3.火山噴火による”日傘効果”と寒冷化


4.温室効果ガス(H2O、CO2、CH4など)の増減

cf.H2Oの複雑さ:雲量増=日射を反射:寒冷化←→温室効果:温暖化

(2)昨今の温暖化について

AD1400~1800頃は寒冷であった。
AD1800頃から長期的に若干温暖化しており、その中で短周期の変動がある。

AD1910~1940頃:温暖化
AD1940~1975頃:寒冷化 ←なぜ?
AD1975~ 温暖化

北極圏大陸部で1950~1998年に見られた温暖化はその後消滅
太陽が不活発な時期に寒冷化が起こることはかなり確か
太陽活動は最近不活発化している
大気中のCO2濃度はAD1800頃から緩やかに増加し、AD1950頃から急増するため、大気中のCO2濃度は増える


(現在の温暖化の大部分は自然変動である)←→IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の見解
地球環境、温暖化、低炭素社会、CO2排出権取引、京都議定書、洞爺湖サミット

6/15 火曜1限「地誌」

東南アジア

(2)経済成長と民族問題、環境問題

例:マレーシアとシンガポール
マレーシア
人口2300万人
面積33万km2
1人当たりGDP 約4000ドル

シンガポール
人口400万人
面積約600km2
1人当たりGDP 約21000ドル

自然

半島側は比較的起伏のある緩やかな山地(標高2000m)
気候:熱帯雨林気候(Af)
首都クアラルンプル
月平均気温:1月23.5℃、7月27.5℃
年間降水量:2400mm

(歴史)

7世紀ころ:スマトラ島のシュリビジャヤ王朝の支配下
13世紀ころ:ジャワ島のマジャパヒト王国の支配下
14世紀末:マラッカ王朝
16世紀:1511年ポルトガルの進出
1641年:オランダによる占領
1795年:イギリスが獲得

マレーシア
元来は資源国……スズ、ゴム、木材、油ヤシ
└資源・輸出……華人商人の繁栄
マレー人農民の低賃金

1969年の民族暴動
└対策としてマレー人優遇政策の実施→大学入学への優遇、公務員への優先採用など
民族対策=ブミプトラ(土地っ子)政策

首相マティールの強権政治→開発独裁
社会秩序の維持には貢献
社会の安定→海外資本の進出→(工業化・経済成長)→都市化の進展・大都市の成長(首都クアラルンプル)=都市中間層の増加


シンガポールの場合
民族はすべて平等で差別政策はない
公用語は4つ:マレー語、中国(北京)語、タミール語(インド)、英語
政治体制は議会制であるが、事実上一党独裁体制(野党の議席なし)

1965-初代首相リー・クァン・ユー
1990-ゴ・チョク・トン
2004-リー・シェンロン

経済の中身
60年代まで商業貿易中心
80年代まで工業中心(輸出)(石油化学、電子など
90年代以降、金融、サービス経済化

6/14 月曜1限「哲学」

科学実在論と反実在論II


  • 反実在論
  • 実在論から見た超心理学
  • 反実在論から見た超心理学
  • 介入実在論

反実在論

1.操作主義

目に見えないものに関する言明は、目に見えるものに関する言明に翻訳すべき。

電子は存在する←→現実 

↑ ↓

Aの実験をすればBという結果が出る←→現実 

しかし、翻訳が難しいときもある(全象命題など)。 



2.道具主義(理論=道具)

目に見えないものに関する言明は真でも偽でもない。しかし、現象を説明、予測するのに便利だから使用される。


 3.構成的経験主義

目に見えないものに関する言明は真でありうる。しかし、それを確かめることは科学の目的ではない。

実在論から見た超心理学

超心理学が主張するサイ現象(透視、テレパシー、念動力など)は本当に存在するか? 

→超心理学は"成熟"しているか?

1.制度的成熟専門研究機関、学会、査読性雑誌の有無? →ok

2.方法論的成熟前進的 or 後退的? →実験の失敗を認め、新たな実験方法を開拓→ok

3.理論的成熟:まだまだ しかし、脳神経科学などもこの点では同じ



→成熟の概念そのものがあいまい

反実在論から見た超心理学

反実在論は超心理学に好意的か?

否。反実在論の立場でも理論選択の基準は存在する。

懐疑主義→蓋然性

ex)ヒュームの議論:理論が真である保証はないが、真である確率がより高い理論を選べ。
  1. 超心理学は現代の物理学と矛盾→真である確率はもともと低い
  2. サイ現象と同じ現象はマジックで作り出せる→その確率はさらに低下

介入実在論

実在しないという点では、電子もサイ現象も同じか?  

→科学者が自分の意図したとおりの結果を引き起こせる(介入可能)なら、その結果の原因が、たとえ目に見えなくても実在する。

→介入の成立には"同じ条件なら同じ結果"という再現性が必要。

→サイ現象を必ず引き起こす手順(条件)を示さない限り、その実在は主張できない。

2010年6月14日月曜日

6/7 月曜3限「哲学」

科学実在論と反実在論I

  • 存在論という視点
  • 科学実在論(奇跡論法)
  • 実在論批判
  • 反実在論

科学哲学における存在論という視点

科学と疑似科学がそれぞれ存在するとみなす対象に差異はあるか?

目に見えない多くのものについて科学はその存在を主張する(引力・電子)
→それはいかなる意味で「存在」するのか?

理論から独立に存在する実在物v.s.単なる理論的な構成物
→実在論v.s.反実在論
(科学実在論においては、身に見えるものの存在は疑わない、目に見えないものを疑う)

科学実在論(奇跡論法

…成熟した(成功を収めている)科学理論は近似的に真である(世界のあり方に対応する)
 =微細な条件を無視すれば、科学者は世界を記述している
ex.微細な条件の無視:ニュートン力学においては亜光速の物体を記述できないことなど

その論拠として:もし実在論が偽であるとすれば、科学技術の成功は奇跡になってしまう。
最善の説明への推論原理:ある現象を最も自然に説明する仮説を選べ!

実在論批判(悲観的帰納法

…過去に成功を収めてきた理論が繰り返し否定されてきた(天動説、天球理論)
→現在成功を収めている理論もおそらくいつかは否定される
→理論の”成熟”と”真理性”の間には必然的な関係はない

6/10 木曜1限「自然地理学」

5.第4紀における、グローバルな気候変動

(1)気候変動が我々に及ぼす影響

気温、風、降水が変わる
→動植物生息域の変化、文明の発展、衰退、衣食住すべて変化
海水準が変わる→”陸橋”の出現と消滅(→文明の伝播・衝突)、海岸地形の変化に伴う生活域の変化

(2)酸素同位体による気候変動の復元

a.酸素同位体とは

16O17O18O
99.76%0.24%0.20%
(標準)

16O17O18O
陽子888
中性子8910

海水温が高いと18Oの蒸発が比較的活発になる(参考:”同位体分別”という)
温度によって18Oの割合が変化
→それにより過去の気候が分かる

b.氷床コアの分析

(例)南極ボストークのコア、グリーンランドのコア
年縞状に保存された氷(H2o)の酸素同位体比を分析
寒い=海水温が低い=18Oの蒸発が比較的不活発→氷に含まれる18Oの割合は低い

c.深海底コアの分析

(例)北大西洋のIODP(国際深海掘削プロジェクト)のコア
年縞状に保存された有孔虫の殻(CaCO3)の酸素同位体比を分析
寒い=海水温低い=18Oの蒸発が比較的不活発→有孔虫の殻に含まれる18Oの割合は高い

cf.有孔虫には海水温が低いと18Oを多く取り込む性質がある(同位体分別)。

(3)復元された気候変動

南極やグリーンランド、北大西洋などでよく似た周期的変化
→グローバルな気候変動が存在したらしい

氷期と間氷期を繰り返す
氷期:現在より寒冷
(例)最終氷期(約20,000年前):現在より約6℃低い
間氷期:現在と同程度に温暖
(例)最終間氷期(約125,000年前)

(4)気候変動と海水準変動

  1. 海水温の上昇・下降に伴う海水自体の膨張・収縮
  2. 氷床・氷河の消長に伴う海水量の増減
(例)最終氷期:現在より100~140m低かった

6.復元された気候変動とそのメカニズム

(1)気候変動の要因

  • 地球の自転・公転の周期的変化
  • 宇宙線量、太陽活動、地球磁場の変化
  • 日射反射率(雪氷面積、植被面積など)の変化
  • 雲量の変化
  • 海洋大循環の変化
  • 温室効果ガス(H2O、CO2、CH4など)の変化
  • 火山噴火・隕石衝突

(例)温暖化→雪氷面積減少→さらに温暖化
cf.正のフィードバック・負のフィードバック
(例)温暖化→海洋大循環停止→寒冷化

2010年6月10日木曜日

読書履歴:半島を出よ

『半島を出よ』を土曜日に読み終わったけれど、感想を書いてなかったから今書く。
読むのは多分3回目くらい。
感想はなんか今更って感じがするから書かないけど。

半島を出よ、大好きですよ。イシハラグループとか魅力的すぎです。
昭和歌謡大全集も好きなんでイシハラとノブエが再登場してるのも良いですね。

2010年6月7日月曜日

5/27 木曜1限「自然地理学」

(復習)小レポート解答例
乾燥~半乾燥地域は緯度20~40°に多い
湿潤温帯地域は緯度30~60°に多い
周氷河~氷河地域は緯度50~60°以上、および標高の高い地域に分布する
湿潤温帯気候は暖流の影響を受けているところがある(とくに日本海流、北大西洋海流)
内陸ほど乾燥しやすい
乾燥~半乾燥地域には寒流の影響を受けているところがある(アタカマ砂漠、ナミブ砂漠)
暖流は赤道付近から極付近に向かって流れており、寒流はその逆である
海流は北半球では時計回り、南半球では反時計回り

(2)四季のある日本

b.夏:小笠原間気団の支配下にある。蒸し暑い(高温多湿)

「梅雨明け10日」
台風:熱帯低気圧のうち最大風速17.2m/s以上のもの。
小笠原気団の西縁付近を北上する。→日本列島には8月~10月に多く来襲
風害・水害(降雨、高潮)
「土用波」(うねり) cf.波とうねり

c.秋

秋雨(秋霖):寒冷高気圧(シベリア気団より)、移動性高気圧(揚子江気団より)v.s.小笠原気団→秋雨前線(台風との相乗効果、大雨をもたらすことも多い)
晴天と雨天を繰り替えす:春と同じ状況
秋晴れ:五月晴れと同じ状況
「天高く馬肥ゆるの秋」
「小春日和」

d.冬

シベリア気団が勢力、勢力圏を大きくする(放射冷却のため)
「木枯らし」冬型の気圧配置(西高東低)になり、その一回目が木枯らし1号
cf.「昨晩は放射冷却で冷え込み……」雲のないよく晴れた晩

日本海側の大雪(北西季節風+対馬海流)と太平洋側の”からっ風”
山雪と里雪
太平洋側の大雪:南岸低気圧に北から冷気が入り込んだときに多い。おもに2~3月。

5/25 火曜1限「地誌」

3.東南アジア世界

従来はインドの東の端、中国の南の端という見られかた
1980年ごろからその独創性への注目

(1)自然的、文化的特性

気候……熱帯気候
赤道直下の島嶼部:熱帯雨林気候(Af)
大陸部:熱帯サバナ(モンスーン)気候、雨季、乾季(冬季)の差(Aw)

サバナ(サバンナ):熱帯草原
熱帯
最寒月の平均気温が18℃以上(ヤシの自生限界)

地形、地質

大陸部と島嶼部の対比
大陸部……比較的安定した大地=草原地帯
島嶼部……山岳地帯が多く、不安定な構造=地震・火山

文化特性

人種……南モンゴロイド系
島嶼部ではメラネシア系の人々も多い

民族

大陸部……タイ(シャム)、ベトナム、カンボジア(クメール人)南モンゴロイド
島嶼部……マレー系民族

宗教

大陸部
仏教(ベトナム・大乗仏教)そのほか上座部仏教

島嶼部(マレー半島含む)
イスラム教(フィリピン北部:キリスト教(カトリック))

5/18 火曜1限「地誌」

(3)現代中国の経済と地域問題

中国の近代化……ヨーロッパ列強による植民地化と表裏一体の関係
1839アヘン戦争
1912清朝崩壊
孫文による中華民国の建国
その後日本の中国大陸進出→反日抗争
国民党政権(蒋介石)と中国共産党(毛沢東)との対立
1945中華人民共和国の成立
60~70年代「政治の時代」紅衛兵
80年代以降……改革開放路線への転換
鄧小平の指導……「社会主義市場経済」の導入
経済自由化で経済成長の進展→所得、生活水準の向上
中国GDP(国内総生産)
1985:329$(1人当たり31$)
 91:3792$(同455$(93))
2000:1兆800億$(同782$(99))
2008:4兆3290億$(同3292$)

経済格差の拡大→社会不安の増大
  • 都市と農村の格差(農工間の格差)
  • 沿海部(開発拠点)と内陸部の格差
  • 工業化に伴う環境汚染問題の深刻化
  • 地域開発による環境破壊

5/31 月曜4限「哲学」

科学史の評価II

  • クーンのパラダイム論
  • ラカトシュのリサーチプログラム論
  • ラウダンのリサーチトラディション論

クーンのパラダイム論

科学の歩みは飛躍的・断続的
パラダイム
その分野の科学者が共有する基礎理論(incl世界観・方法論)
通常科学=パズル解決=現行のパラダイムで説明されていない現象(アノマリ)を解決。
しかし、科学の発展は時に、パラダイムの転換そのものによって生じる。
(アノマリの蓄積→異常科学→科学革命→新たな通常科学→……)
※異なるパラダイムの間では、問題設定そのものが異なるので、優劣比較不可能。
→相対主義? 占星術は天文学とパラダイムの異なる科学では?

ラカトシュ

リサーチプログラム(≒パラダイム)
固い核
そのプログラムの中心的主張(決して曲げられないもの、放棄したらその説ではなくなる)
防御帯
必ずしも譲れなくもない主張
→両者が一緒になって予測を導き、不利な実験結果は防御帯の修正で解決(後付けの変更の説明)。
前進的(”新奇な予言”の成功あり)←→後進的(”新奇な予言”の成功なし)
新奇な予言の例:海王星の発見。天王星の軌道が計算と違ったが、防御帯を変更し、未知の惑星を設定したが、のちに海王星が発見され真実になった。
→プログラムが新奇な予言を成功させているかどうかは、外から判定可能。
問題点:どこを固い核とし防御帯とするのかは人によって違う

ラウダン

リサーチトラディションは内部に微妙な差異、変化を許容
→問題解決能力(説明できることの多さ)さえ増大していれば、新奇な予言の必要なし
→後付けの説明にも、”ありそうなもの”と”なさそうなもの”がある。

→線引きは、白黒ではなく程度の問題