シンオウ昔話
その3
人と結婚したポケモンがいた
ポケモンと結婚した人がいた
昔は人もポケモンも
おなじだったから普通の事だった
原文:
シンオウ むかしばなし
その3
ひとと けっこんした ポケモンがいた
ポケモンと けっこんした ひとがいた
むかしは ひとも ポケモンも
おなじだったから ふつうのことだった
原文:
シンオウ むかしばなし
その3
ひとと けっこんした ポケモンがいた
ポケモンと けっこんした ひとがいた
むかしは ひとも ポケモンも
おなじだったから ふつうのことだった
原文:
シンオウ むかしばなし
その2
もりのなかで くらす
ポケモンが いた
もりのなかで ポケモンは かわを ぬぎ
ひとにもどっては ねむり
またポケモンの かわを まとい
むらに やってくるのだった
原文:
シンオウ むかしばなし
その1
うみや かわで つかまえた
ポケモンを たべたあとの
ほねを きれいに きれいにして
ていねいに みずのなかに おくる
そうすると ポケモンは
ふたたび にくたいを つけて
このせかいに もどってくるのだ
原文:
トバリのしんわ
つるぎを てにいれた わかものがいた
それで たべものとなる ぽけもんを
むやみやたらと とらえまくった
あまったので すててしまった
つぎのとし なにもとれなかった
ぽけもんは すがたを みせなくなった
わかものは ながいたびの あと
ぽけもんを みつけだし たずねた
どうして すがたをかくすのか?
ぽけもんは しずかに こたえた
おまえが つるぎを ふるい
なかまを きずつけるなら
わたしたちは つめときばで
おまえの なかまを きずつけよう
ゆるせよ わたしのなかまたちを
まもるために だいじなことだ
わかものは さけんだ
おまえたち ぽけもんが いきていること
つるぎを もってから わすれていた
もうこんな やばんなことは しない
つるぎも いらない
だから ゆるしてほしい
わかものは つるぎを じめんに
たたきつけて おってみせた
ぽけもんは それを みると
どこかに きえていった
原文:
むかし シンオウができたとき
ポケモンと ひとは
おたがいに ものを おくり
ものを おくられささえあっていた
そこで あるポケモンは
いつも ひとを たすけてやるため
ひとの まえに あらわれるよう
ほかの ポケモンに はなした
それからだ
ひとが くさむらに はいると
ポケモンが とびだすようになったのは
原文:
シンオウしんわ
おこるな ?? がくるぞ
かなしむな ?? がちかづいてくるぞ
よろこぶこと たのしむこと
あたりまえの せいかつ
それが しあわせ
そうすれば ??? サマの
しゅくふくが ある
というのが くちぐせだ
寓話としての短編(抜粋)
『言うべきことや語るべきことがなくただ手法だけがある時代、たとえば映画の「スワロウテイル」やアニメの「エヴァンゲリオン」を評してそういう風に言う人がいる。言うべきことや語るべきことを持っているのは基本的に政治家だと私は思う。作家やその他の表現者は言うべきことや語るべきことがあって作品を作るわけではない。
伝えたい何かがあるから、作るのだ。アピールしたいわけでもないし、マニフェストしたいわけでもない。ただ、自分と言う容器にある情報を伝えたいというだけなのである。』
「村上龍 自選小説集3」より